ブルーリボン号の紹介 【 1972卒 岩崎均 】

1.  1980年代

  • その当時、KCC・OBの一部連中が、先輩ヨットマンの蛯名毅氏所有のアレキサンドラ号にクルーとして、セーリングをして楽しんでいました。

船内にはFM番組ジェットストリームやFEN放送が流れていたりして、KCCの鍛練の場の雰囲気とは違っていました。

湘南の陽を浴びてのメンズクラブ風のヨットライフを味わっていました。

  •  ただし、仲間たちとの間には、自分達だけでクルーザーを持ち、外海を航海したいと言う望みが大きく膨らんで来ておりました。

1号艇「ブルーリボン号」/木造・ヨール・28f・設計 横山晃/横浜市民ハーバー

  •  そんな折り、すでにネオパトス号を主軸に活動していたKCCから、元の旗艦練習船、セールナンバー157「ブルーリボン号」を譲って頂けることになりました。

そのまま、横浜市民ハーバーのブイに舫うことにしました。

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【ブルーリボン1号艇 リーフをしての帆走】 ここに、「ブルーリボン号」グループが発起したのですが、残念ながら当の船は老朽化が進んでおりました。

  •  ブイに係留したまま、ときを過ごしていた時期でもあったのです。
  •  ほどなく、是非ともこの「ブルーリボン号」を山岳の雲海に浮かべたい方が現れて、そのひとへ手放すことになりました。あれから35年がたち、譲渡先の八ヶ岳ヴィラ・アフガン(レストラン)には今でもマストは健在で、夜は照明が灯り客人の道しるべとなっています。また、ご主人の取り計らいで当時の部品なども保存されているそうです。近くに行った際は、ここへ立ち寄るのも一考でしょう。カレーが美味しいそうです。

2号艇「オリエンタルウィンド号」/ヤマハモーターセーラー23/諸磯湾

  •  前述の時期に相前後して、諸磯湾に空きブイの情報を入手しました。油壷付近を根城にしたかったので、良い機会を得たとばかりに、このバースを使用することにしました。但し、係留していた元の艇名にしなければならない条件がありました。
  •  当時、京浜急行線鉄橋上からも見ることができた多摩川の河口方面・川崎市側に船着き場ありました。そこで見つけたのが、中古艇ヤマハモーターセーラー23だったのです。
  •  早速、購入の上、多摩川から諸磯湾へ回航し、「オリエンタルウィンド号」として係留しました。
  •  モーターセーラーの割にエンジン馬力が弱く、セーリング能力は期待ほどではありませんでした。せいぜい油壷湾口から数マイル程度の沖合を航行するしかなく、ファミリーが乗るには少し不安がありました。

 

2.1982年代

3号艇「ブルーリボン号」/ニッサン30/佐島マリーナ

  •  相模湾を一望にできる風呂付で、夢のようなポンツーン置きである佐島マリーナ  へ移動することにしました。船はニッサン30を買いました。
  •  艇名は、「ブルーリボン号」で皆の意見が一致しました。

KCC伝統のシーマンシップを教えてくれた、あの『ブルーリボン号』を忘れることが出来なかったのです。

  •  先の初代ブルーリボン号のオーナーであった中谷林平氏に伺ったところ、『ブルーリボン』の使用を快諾していただきました。
  •  中谷林平氏から「ヨットが好きで、海が好きな人たちが増えるのだから、ブルーリボンと言う名を使うのは差支えありませんよ」とのお言葉を頂いた時は、シーマンの心意気を感じました。
  •  ここに、セールナンバー157「ブルーリボン号」があらためて船出したのです。
  •  中谷林平氏のご子息がブルーリボン2世、そして現在はブルーリボン3世を油壷湾に所有されております。
  •  クルージングを楽しむのに適したこの船では、相模湾、西伊豆下田近海を家族と一緒に航海しました。

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【ブルーリボン3号艇ニッサン30船上で一服(三橋)】

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【上架中のブルーリボン3号艇ニッサン30】

 

3.1992年代

4号艇「ブルーリボン号」/T301・設計 高井理氏/佐島マリーナ

  •  次の船として、レース派も楽しめて、ファミリークルージングにも適応できるT301を選びました。

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【ブルーリボン4号艇T301佐島マリーナ進水式にて】

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【ブルーリボン4号艇T301進水式神事】

  •  ドッグハウスや、ハル、バラストなどの形状はレース向きに高井氏による独特のデザインです。

また、舵利きは敏感に反応するし、セーリングテクニックを楽しむのにも向いている船です。ローカルレースなどでは賞を頂くほどの戦績を残しています。

  •  キャビン内には円テーブルがあり、このテーブルを囲みながら仲間たちとの飲食歓談は大いに盛り上がったものです。

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【ブルーリボン4号艇T301房総クルージング(鈴木、福田、辰巳の3ファミリー)】

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【KCCカップのブルーリボン4号艇(石森、狩野、辰巳、駿河、小田、石川)】

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【ブルーリボン4号艇仲間たちと(辰巳、目賀田、岩崎、藤原、石森、駿河)】

4.1996年代

 同艇/横浜ベイサイドマリーナへ

  •  この頃から、佐島マリーナが管理料を値上げしてきました。すったもんだの交渉をしましたが、うまくいきませんでした。
  •  運よく、横浜ベイサイドマリーナが開港し始めたときで、比べると安く利用できることから、引っ越しをすることにしました。
  •  移動先は大きなクレーンと立派なポンツーンがあり、セキュリティーもしっかりしており設備としては十分すぎる程です。ここでも水置きにしました。
  •  東京湾を航行する外国船やフェリーの合間をセーリングしました。
  •  マリーナとはアクセスも便利で環境も申し分ありませんが、相模湾への思いは募るばかりでした。

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【横浜ベイサイドマリーナに係留するブルーリボン4号艇】

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【八景島マリーナに係留する4号艇(鈴木ご夫妻、辰巳)】

 

5.1998~1999年代/新艇建造計画期間

 T301も爽快な帆走をする艇ではありましたが、遠出をする為の居住性や安定感はいまひとつだったので、新艇への代替を進めるための計画期間を持ちました。

 

6.2000年代

5号艇「ブルーリボン号」/Seam31CR(1号艇)・設計 横山一郎氏/油壷三崎マリン

  •  初代ブルーリボン号の設計者横山晃氏がご父君の横山一郎氏設計によるカスタムメイドの船です。職人気質の堅牢なヨット造り名人、坪井氏が代表のツボヰ造船によるクルーザーがここに完成しました。辰巳君と占部君は、名古屋まで出向き坪井氏とは良い造りの船になるようにと、相談に時間をかけてくれました。

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【造船中のブルーリボン5号艇】

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【ツボヰ造船でのブルーリボン5号艇誕生前】

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【シーボニアで海に浮かべる寸前のブルーリボン5号艇Seam31CR】

  •  クルージングとレースにも満足できる船が進水しました。しかも泊地は、油壷三崎マリンであり、万感の思いでした。

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【油壷三崎マリンに浮かぶブルーリボン5号艇】

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【ブルーリボン5号艇進水式にて安全祈願】

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【ブルーリボン5号艇進水式お披露目会】

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【ブルーリボン5号艇進水式にて(占部、福田、辰巳、鈴木、岩崎)】

  •  この船では、伊豆半島東岸、石廊崎、清水港、伊豆七島の一部や南房総半島のファミリークルージング、レースではトーキョーズカップと小網代カップに優勝し、三宅島レースには2回参戦するなど輝かしい戦歴も残しています。

 

  •  素晴らしい船だけに16年間、今もつきあっています。引き続きこれからのセーリングも楽しみです。

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【AYC四季レースのひとコマ(吉川、山下、辰巳、矢野、飯田)】

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【2010裕次郎カップ、他艇をおさえての勇姿ブルーリボン5号艇】

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【同レース、スピンネーカーでスピードアップ】

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【同レース、小網代沖をクローズで快走】

 

7.2013年代

同艇/油壷特別泊地へ(油壺ボートサービス管理)

  •  故郷に戻って来たときの様に、懐かしさがこみ上げて来ました。
  •  「ブルーリボン号」は、自然に抱かれる心地良さを感じていると思います。
  •  そして、この泊地に係留することができたのも、大勢のヨット仲間によるおかげさまと感謝しております。

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【相模湾をクローズで疾走するブルーリボン5号艇】

 

8.2016年これから

・  若手の新メンバー1名が加入する予定ですが、ブルーリボングループもご多分にもれず高齢化を迎えています。しかし、皆が昔の青春を忘れず、気持ちをひとつにして元気に航海しています。当面は

5号艇を維持していく予定ですが、メンバーが集まると6号艇の話題が間々浮上します。

  •  5号艇にしろ6号艇だろうと、どこかの海で「ブルーリボン号」に出会ったときは、手をふりながら声をかけてくれると、いいな。
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   【東伊豆沖合のブルーリボン5号艇にて。青年のごとき潤いのある笑顔(斉藤)】

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【冠雪を抱く富士山とブルーリボン5号艇】

 

9.歴代・現役メンバー紹介(真偽責任は負いかねます。)

1972年卒 ①吉川誠一 * プロのヨットマン。潮っけが溢れるくらいあり、船にはやさしく人には厳しいです。が、人一倍、まわりに気をつかっています。

同年卒  ②鈴木春仁 * 洞察力に富み、飲み会の場は盛り上げるし、シケの時でも随所に適確な意見を出してくれます。

同年卒  ③岩﨑均  * ポカミスをするのは、生来変わっておりません。

1973年卒    ④大内健一 * 普段は寡黙と思われがちですが、興に乗ると話が止まりません。いつもスターンパルピットのオーナーベンチを定位置にしています。

同年卒  ⑤福田久米三 * 太っ腹は人格と体型、ともに具わっています。

同年卒  ⑥辰巳豊  * グループ運営から船の運航まで、メンバーの校長先生です。

同年卒  ⑦三橋堅一(故人) * 船上作業はマイペースです。また物事にはまじめに取り組みます。

1975年卒 ⑧石森敬三 * 一途なところがあり、ルールに厳しく正義感を大切にしています。

同年卒  ⑨占部祐二 * 粗野なところは九州男児かとご推察しますが、クラーク・ゲーブル似と言われる好男子です

同年卒     ⑩児玉俊一 * ユニークな発想とちょっとニヒルっぽいところが、人を引き付ける魅力となっています。

同年卒  ⑪狩野慎一郎 * 合理的、効率的な発想で率直に意見を述べます。気品がありスマートです。

同年卒  ⑫斉藤卓也 * 一緒にいるときの存在感はピカイチです。保有情報量の多さ、情報の発信力にも優れています。

同年卒  ⑬藤原孝一 * どんな所でも生きられる免疫力と体力を持っているガッツ派です。自己主張が強そうですが、他人の意見を聞く耳は持っています。

同年卒  ⑭目賀田正宏(故人)* 温和な印象でも芯は強く、明るい性格の勉強家です。

1978年卒 ⑮石川雄久 * 頭脳の回転が速く思い切りの良さがあります。荒海への冒険心が豊富でした。

2011年卒 ⑯中島渉 * 2016年度の新メンバーです。仲間の最高齢者とは40歳ほどの開きがあるものの、上手につき合ってくれる包容力がありそうです。

 

― おしまいに、横山晃氏のお言葉を添えておきます。

『ヨットマンは、特に親愛なるKCCの諸君は、OBなどの美名に葬られることな

く、「在学中はアプレンテイスト(見習い生)、卒業したら現役、そして葬式の日

にOB」という位の壮大なスケールで人生計画を立てて欲しい』(KCC20周

年誌より)

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【スピンネーカーを揚げて帆走するブルーリボン1号艇】

END